第六回「学習カードの意義と効果的なコメント方法」(H30.4.1)

<新年度特別号:全文掲載>

 

我が国の小中学生で、「話す・聞く・読む」ことに比べて「書く」ことが相対的に不十分であり、特に自分の考えを「理由」や「根拠」を明確にして書くことに課題があるという調査結果が公表されました(*1)。最近のSNSの普及で、スマホを介した単文による対話が増えていることも影響しているように思えますが、子どもたちが理論的に「書く」機会を学校現場ではしっかりと保障したいものです。

学校では、多くの「書く」学習があります。国語科はその代表的な例ですが、体育科でも学習カードが小学校では90.9%、中学校では100%使われており(*2)、重要視されていることがわかります。では、なぜ学習カードを書くことが重要なのでしょうか。その意義として、
(1)子どもの立場から→めあての設定と振り返りを繰り返すことで思考の整理が行われる(*2)
(2)教師の立場から→授業時間内に指導・支援しきれなかった児童生徒一人一人の思いや活動の様子を児童生徒の記述から読み取り、次の手だてに活かしていくことができる(*3)
などが挙げられています。

(1)の効果を高めるために、教師はどのように添削すれば良いでしょうか。多忙の中で時間を見付けて日々添削するのはなかなか大変…。でも、「質問する」「提案する」「承認する」「事実をフィードバックする」「できない原因を考えさせる」この5点を意識して学習カードにコメントすると、体育における「できる」「わかる」の実現に近づくことが研究的に明らかになっています(*4)。
学習カードを日々添削する時に、以上の観点を少し意識して線を引いたりコメントをしたりすると、授業での子どもたちの学びがより深いものになるかもしれませんね。

*1:OECDによるPISA調査及び文部科学省による全国学力・学習状況調査
*2:日景奈美・福岡雄二・田村光司・後藤健人(2014)主体的な学習活動を促す体育・保健体育科の授業改善―自己評価活動を生かした学習カード・ノートの活用を通してー川崎市教育センター研究紀要第18号pp.95-110
*3:野田義勝・堤公一・福本敏雄(2012)体育学習における学習カードの効果とその活用法 : 中学校2年保健体育科「器械体操」の授業を通して.佐賀大学教育実践研究29.pp.237-246
*4:佐藤知穂(2012)「わかる」 と「できるJ の統ーを目指した授業づくり -コーチングを活用 した保健体育科の実践ー.山形大学大学院教育実践研究科年報.pp.100-107

★次回は、「リズムダンス・現代的なリズムのダンスの授業で使える!お薦め音源集」をテーマにお届けします。

第六号担当:A.N.

*:・゜。*:・゜*:・゜。*今日のひと言*:・゜。*:・゜。*:・゜。*
私は他の誰かよりうまく踊ろうとはしない。ただ自分自身よりうまく踊ろうとしているだけだ。ミハイル・バリシニコフ(旧ソ連出身のバレエダンサー・振付家・俳優)

第五号「ダンス授業におけるリズム太鼓の力」(H30.3.1)

「リズム太鼓」を授業で使ったことがある先生、いらっしゃいませんか?リズム太鼓を使うことの効果、実は研究的に明らかになっているのです。

 

2014年に小学校2年生を対象に実施した研究を紹介します。体育館の自由な空間内で、

A組:スキップ・ケンケン・ケングー(※)等を行っている最中、リズム太鼓を継続的に鳴らし運動のリズムを支援する

B組:運動中にリズムを全く打たない

この2組を

(1)決められた時間の最後まで運動を継続する力

(2)外的なリズム刺激が無くても運動に適した一定のリズムを自身の体で取れる力

この2観点で分析した結果、 会員HP

 

 

第四号「ヒップホップのリズムとノリ」(H30.2.1)

先月号の"ロックのリズムと乗り"に引き続き、今月号はヒップホップのリズムとノリについてお届けします。

 

ヒップホップのリズムとノリ方は、ヒップホップダンサーを参考にすると良さそうです。ヒップホップダンサーは、微妙に音楽のリズムを遅れて取る「遅取り」を好み、その微妙な遅れを含む「大きな体の動きのうねり」でリズムを捉えて踊っています。ノリの良さを表す「グルーヴ(groove)」についてピアニストの小松(2014)は、「確なテンポ(時間)の拍打ち(刻み)の中で微妙にタイミングがずれている打点を含むことに特徴が認められるノリ」と報告しています。どうやらグルーヴとは、実に"微妙で感覚的"なもののようです。

このグルーヴ感をダンスで捉えるために、踊る時は会員HP

 

 

第三号「「リズムに乗って踊る」ってどういうこと?」(H30 .1.1)

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、新年初めは、実は奥が深い…このテーマでお送りします。

「リズムに乗るってどういうことですか?」と、ある先生からきかれました。現代的なリズムのダンスに示されている「全身でリズムに乗って踊る」とは?という疑問です。「例えば8拍子の曲に合わせて、1拍毎にひざを屈伸して上下動すること」などと、音楽のリズムと動きの関係を数字で割り切って説明すると納得されましたが…、実は非常に感覚的な言葉であり、正確に説明することが難しいことに気づきます。

この「音楽のリズムに乗って踊る」とは、会員HP

 

CJT定期便(第3号から会員のみ閲覧可となります)              第二号「日本の踊り“ナンバ”の古今」(H29 .12.1)

 日本には、“ナンバ”という手と足の運び方があります。右手と右足、左手と左足を同時に出す運び方です。指導要領で定められている日本の民踊にも、この“ナンバ”が多く登場します。では、なぜ日本の踊りに多く登場するのでしょうか?そう、それは私たちが農耕民族だからです。畑を耕すときには鍬を持ちます。鍬を振り下ろしたときに、手と足はどうなっていますか?もし手足がクロスしていたら鍬が足に刺さってしまいます。相撲を見てみましょう。横綱が四股(しこ)を踏む時の手と足は…?やはり“ナンバ”で、すり足をするときも同じですね。これは最も体に力を蓄えることができるからなのです。

実は、江戸時代1603年(慶長8 年以降)の浮世絵に登場する人物や、1980年代(昭和55年以降)に流行した日本発祥の “パラパラ”も“ナンバ”。この“パラパラ”は盆踊りと同じで、みんなが同じ方向を向いて同じ足運びと手振りで踊っていました。
このように考えていくと、時代が変わっても私たちの生活様式が日本の踊りと密接に関連していることを実感します。授業で触れていくと、踊りがいかに古い文化を持っていて私たちに身近なものか子どもたちも実感すると思います。
*例:相撲すり足↓
https://www.youtube.com/watch?v=pkPbsPcQidI

*:・゜。*:・゜*:・゜。*今日のひと言*:・゜。*:・゜。*:・゜。*
「誰にでも才能はあります。問われるのはどう才能を伸ばすかです。」
マイヤ・ミハイロヴナ・プリセツカヤより(ロシアのバレエダンサー)

 

 

・:*:・・:*:. CJT定期便開通記念 ・:*:・・:*:.(H29 .11.1)   第一号「身体表現って何?」

みなさん、初めまして。
千葉県女子体育連盟から、このたび「CJT定期便」をお届けする運びとなりました。
(講習会等のアンケートにメールアドレスとお名前を頂き、ML入会の許可を頂い
た先生方にお届けしております)

毎月一回、授業や研究に活用できそうな”ひとくちメモ”をお届けしますのでどう
ぞご活用下さい。
この定期便のモットーは「忙しい毎日の隙間時間に読めること」ですので、
お昼休み、出勤途中、帰宅途中、家事の間など…その隙間にどうぞご活用下さい。
(次回から400字程度でお届けしていきます)

さて、記念すべき第一号のテーマは「身体表現って何?」です。
「身体表現」は、小学校の「表現運動」や中高の「ダンス」でなくてはならないものです。
でも、自己表現が苦手な児童・生徒も身近に少なからずいるのではないでしょうか。
劇作家/演出家の鴻上尚史氏はこういいます。
「表情や声、体などを使った『表現』を鍛えることで、魅力的な人間になれる。
表現は技術であり、磨けば自分自身も光るようになる。」
そして同時に、これらを持っている人を真の意味での「教養のある人」と言及しています。

この「表現」という技術を磨く方法は…?
それらが、表現運動・ダンスの授業の中にちりばめられているのです。
表現運動・ダンスの授業は、授業という枠組みを超えて、
私たちの生活や人となりの形成にとっても大切なのですね。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/associe/expression/060502_4th/

さて、欧米では小学校低学年から「演劇」を科目として学びますが、日本にはないですよね。
教科のあり方にもその国の身体表現に対する考え方が垣間見えますが、
国際化が浸透する現在、日本人でも豊かな身体表現ができる人材を育てたいところです。
この身体表現は実はとても身近なやり方で認識・トレーニングが可能なのです。
例:好きな食べ物について二人組(Aさん、Bさん)で話す
(1)Aさんは、好きな食べ物を相手に向かって話す
(2)Bさんは、相づちや笑顔など全く反応を示さずその話をただ聞く
(3)Aさんは、もう一度好きな食べ物を相手に向かって話す
(4)Bさんは、相づちや笑顔など反応を示しながら話を聞く
これを行うと、(2)と(4)の違いに気づくはずです。
そう、(4)は身体表現が伴う会話なのです。
それが豊かなほど、会話が弾むことが確認できます。
HRなどで、ためしに(1)~(4)を実践してみてはいかがでしょうか。
児童・生徒たちが、身体表現がいかに身近であり、対話に必要不可欠なものかを実感してくれるでしょう。
さらに応用的に考えて…先生方も個人面談等でご自分の身体表現を意識してみるといいかもしれません。

*:・゜。*:・゜*:・゜。*今日のひと言*:・゜。*:・゜。*:・゜。*
「身体は言葉にできないことを伝えることができます。ダンスは身体を使った魂の言葉です。」
「Brainy Quote」 Martha Graham(マーサ・グラハム、モダンダンスの開拓者)より